右腎臓の一部機能停止につき慰謝料に考慮

IT 2016年10月21日 | 内臓の機能障害
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認容額 108万3457円
年齢 19歳
性別 女性
職業 観光バスガイド
傷病名

右腎臓破裂、顔面挫傷、両下肢挫傷

障害名 右腎臓の3分の1が破裂により機能停止
後遺障害等級 11級
判決日 平成2年10月31日
裁判所 名古屋地方裁判所

交通事故の概要

昭和61年10月23日午後3時25分ころ、名古屋市守山区の路上において、被害者は、本件事故当時観光バスガイドとして勤務中であっが、客の遺留品を届けに行くため、路上に観光バスを停車させて降車し、同バスの前方約1.5メートルのところを北から南へ横断歩行中、同バスの右側方を後方から進行してきた加害者の自動二輪車に衝突されて路上に跳ね飛ばされた。

被害者の入通院治療の経過

被害者は、右腎臓破裂、顔面挫傷、両下肢挫傷の傷害を受け、N病院に事故当日の昭和61年10月23日から同年12月6日まで45日間入院し、同月7日から昭和62年2月18日まで(実通院日数5日)通院した。
なお、被害者は、当初の二日間は意識が低下し、絶対安静の重傷状態であった。
被害者は、右腎臓の3分の1が破裂により機能停止となり、その症状は昭和61年12月6日に固定した。

後遺障害の内容

被害者は、右腎臓の3分の1が破裂により機能停止となり、その症状は昭和61年12月6日に固定した。
右腎臓の3分の1の機能が失われた場合の損害は、一般論として、健全な腎臓であれば、左右一対の4分の1程度になつても、人間の生命・健康の維持に必要な腎臓の機能は最小限保たれることを考慮するならば、後遺障害による労働能力の一部喪失による逸失利益として算定することは適切ではなく、後遺障害による慰謝料としてのみ処理するのが相当であるとして、後遺障害等級表11級11号の「胸腹部臓器に傷害を残すもの」を参考にして、腎臓損失の程度、年齢等を考慮して、11級11号に対する保障金相当額の約2分の1をもって後遺障害の慰謝料額とした。

判決の概要

被害者(女性、19歳、観光バスガイド)が客の遺留品を届けに行くため、路上に観光バスを停止させて降車し、同バスの前方約1.5メートルのところを北から南へ横断進行中、同バスの右(南)側方を後方から進行してきた加害車(自動二輪車)が、バスの影になつてバスの前方を横断中の被害者を発見するのが遅れ、急ブレーキを掛けたが間に合わず、被害者を路上に跳ね飛ばした。本件事故により、被害者に右腎臓破裂、顔面挫傷、両下肢挫傷の傷害を負わせ、その結果、被害者に右腎臓の3分の1が破裂により機能停止となる後遺障害を生じさせた。本件事故につき、バスの前方を横断しようとする者に警告を与えるための警笛の吹鳴を怠り、かつ、減速徐行もせずに進行した加害車運転者に過失を認めた。

認容された損害額の内訳

治療関係費 159万7754円
入院付添費 6万6500円
入院雑費 4万5000円
通院交通費 2万9350円
休業損害 30万6502円
慰謝料 210万円
損害の填補 - 232万 7627円
弁護士費用 9万5000円
過失相殺 - 82万9022円

※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。

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